蔵元とお酒の魅力をとことん教えてくれる、日本酒愛たっぷりのお店
渋谷の奥座敷・神泉。渋谷駅界隈の喧噪を抜けたこの場所に、日本酒好きが集う店がある。もともとは1985年から渋谷の道玄坂で「酒菜亭」として日本酒好きに愛されてきたお店だが、「落ち着いた環境とお客様との心地良い距離感を求めて」2012年5月にこの地に移転。名前も「酒とさか菜」と改め再スタートを切った。
お酒に対する繊細な気遣いが嬉しい
入り口を入ると正面には檜の一枚板のカウンター、右手にはテーブル席が。アットホームな雰囲気に心安らぐ。ほんとうの蔵元の味を飲めるお店を、というポリシーは変わらない。置いてあるお酒はすべてママの高塚正子さんが心底惚れ込んだ厳選品。「顔の見えるお酒じゃないと置きたくない」と、蔵元に赴き、各種試飲会に参加し、味はもちろん、造り手の姿勢や人柄に共感し納得したお酒だけが揃っている。それらすべてが蔵元直送。さらに、いったん封を開けて3日を過ぎたら煮切り酒ににまわし、いっさい下げてしまうというから鮮度は抜群。
その管理が行き届いたお酒を、最も美味しさが際立つ状態で提供してくれる繊細な心遣いが嬉しい。たとえば温度。冷やなら若干低めの温度で出され、最初はきりっとした美味しさを、その後温度が上がるにつれ香味が開いていく様を楽しめる。お燗酒なら超ぬる燗(約30度)から飛び切り燗(60度)までの5度刻みで、お酒の個性をもっとも引き出す燗のつけどころで出してくれる。同じお酒でも、実はこんな美味しさがあったのか、と驚くこともしばしばだ。
美味しい料理と的確なナヴィゲーション
そうしたお酒の魅力をさらに引き立ててくれるのが、お酒と合わせてちょうどいい塩梅に仕立てられた料理の数々。静岡出身のマスターの高塚茂樹さんが、静岡産を初めとする食材にこだわった季節感たっぷりのお料理でもてなしてくれる。静岡おでんや黒はんぺんはもちろん、季節によっては桜海老や生しらすなど、海のものよし山のものよし畑のものよしの、静岡ならではの味覚は要チェック。
食べたい料理に合わせてお酒を頼んでみるのもよし、お酒に合わせてお料理を頼むもよし。「日本酒はオールマイティでいろんな料理をカバーできるから、どんな食べ物にも合わせる日本酒を探す自信があります」とママさん。マスターの美味しい料理と、ママさんの繊細で的確なお酒のナヴィゲーションが、お酒に対する五感を開き、今まで気づかなかった魅力に開眼させてくれる。造り手に対する敬意と造られたお酒に対する愛、飲み手を楽しませてくれる繊細な気遣いーー初心者からディープな日本酒好きまで満足できるお店だ。
▲入り口を入ってすぐ、温かく迎えてくれるカウンター。カウンターは檜の無垢の一枚板。静岡で45年間おでん屋を営んでいたマスターのお母様から譲り受けたもの。
▲夜の外観。看板はカウンターとして使われていた檜の無垢の一枚板の一部。
▲入り口を入って右手にテーブル席。奥の冷蔵ショーケースには大切に保管されているお酒がずらり。
▲(左から)ママの高塚正子さん、マスターの高塚茂樹さん、鈴木茉莉子さん
飲める名門酒
男山、新政、一ノ蔵、大山、真澄、若竹、蓬莱泉、明眸、酒呑童子、嘉美心、賀茂泉、司牡丹、五橋、七冠馬、天盃など。蔵元定番のお酒から生酒など季節のお酒も充実。
お料理
マスターの高塚茂樹さんが、静岡ならではの食材も織り交ぜて送るお料理は、滋味溢れる美味しさ。丁寧にしつらえられた気の利いた一皿一皿が、お酒と合わせてお互いを最高に引き立て合う。基本のお料理やお酒はお店のホームページを、今のおすすめの料理やお酒はFacebookをチェック。
*平均予算:一人5,000円程度
お刺身の盛り合わせ 旬の魚介のお刺身は、シーズンなら桜海老や生しらすなど静岡ならではの魚介も楽しめる。三ツ星醤油につけてお召し上がりを。 |
静岡おでん 継ぎ足しされただし汁がよく染みた静岡おでんは、だし粉と青ノリの風味がアクセント。ダシの風味が際立つ、気軽で嬉しい酒の供。 |
肉詰めしいたけ焼き 肉詰めしたしいたけをホイル焼きにした、シンプルながらも素材の美味しさが光る一品。芳ばしい醤油の香が食欲をそそる。 |
◆お店より一言◆
日本酒が好きで、料理も何もかも日本酒を中心にまわっているお店です。蔵元さんの味をそのままぜんぶお楽しみください。
*定期的に、蔵元さんを招いてのお酒の会を開催。案内はメルマガで。
*蔵元さんのお話は web radio「ま〜ママの呑ミュニケーション倶楽部」で聴くことができます。
(2014.02)