日本名門酒会

秋の純米酒頒布会 2021『酒蔵夜ばなし』


第3回12月

つかさぼたん じゅんまいげんしゅ

司牡丹 純米原酒

[高知県佐川町]


1800ml 720ml
1.8Lコース 720mlコース

R2BY 熟成酒(瓶貯蔵)

〜 一升飲んでから
口中にほのかな甘味を生じ 〜


坂本龍馬

山内一豊の筆頭家老のお抱え酒屋として創業、『竜馬がゆく』に描かれた『司牡丹』

関ヶ原で功績を挙げた山内一豊が土佐(現在の高知県)24万石に封じられた慶長8年(1603年)、土佐佐川郷1万石を与えられたのが筆頭家老・深尾重良でした。そのお抱え酒屋として数軒の造り酒屋が佐川に蔵を構えました。後に『司牡丹』の蔵元となる竹村家もそのひとつでした。大正7年(1918年)、4軒残っていた佐川の蔵元が統合して誕生したのが、現在の司牡丹酒造の前身・佐川醸造です。

蔵元の竹村家には、天保2年(1831年)、先祖・黒金屋弥三右衛門が高知城下の蔵元・才谷屋助十郎から酒造株(酒造量の権利)を買ったという書状が残っています。この才谷屋とは幕末のヒーロー・坂本龍馬の本家です。また、竹村家と坂本家の家系図からは、両家の間で姻戚関係が繰り返されたことが窺えます。

文豪・司馬遼太郎は、名作『竜馬がゆく』のなかに、『司牡丹』を登場させて、以下のように表現しています。「酒は土佐の佐川郷で吟醸される司牡丹である。土佐人好みの辛口で、一升半のんでから口中にやっとほのかな甘味を生じ、いよいよ盃がすすむ」と、飲み飽きしない『司牡丹』の酒質を端的に記しています。

佐川醸造設立から5代目をかぞえる蔵元・竹村昭彦氏によると、龍馬の時代には『司牡丹』の酒名はなく、また司馬遼太郎は酒が飲めなかったともいいます。司馬遼太郎は、執筆の取材で、高知を代表する辛口が『司牡丹』であることを人づてに聞いたのでしょう。


(写真左)蔵正面の酒林 (写真右)竹村昭彦社長(5代目)
司牡丹酒造(株) 慶長8年(1603年)創業

お酒について
すっきりとした口あたりにほどよい酸味と旨味、『司牡丹』会心の辛口純米酒

麹と酒母には酒米の最高峰・兵庫県産《山田錦》の特等米を55%精米で使用。掛米には現存する国内最古の飯米品種「朝日」の改良型で、大粒の岡山県産《アケボノ》を精米歩合70%で組み合わせました。酵母は品のいい香りの「高知酵母」を使用。この造りでは3年目を迎えましたが、今回は仕込みに使用する白米の総量を1.5 t に止めて、厳密な温度コントロールを施しながら、醪のアルコール分を15度台に抑えて、雑味の原因になる酵母の死滅を極力防ぐなど、一段と進化させました。

すっきりとした男性的な口あたりに、ほのかな甘味、ほどよい酸味と旨味、メロン様の芳香が口中に感じられます。キレのいい後味は飲み飽きしないだけでなく、様々な料理の味わいを下支えします。『司牡丹』会心の辛口です。

  • 【分析値】
  • [原料米]アケボノ(岡山県産)・山田錦(兵庫県産)
  • [精米歩合]掛米70%・麹米55%
  • [酒母]中温速醸酛
  • [酵母]高知酵母
  • [アルコール度]15度以上16度未満
  • [日本酒度]+5.0
  • [酸度]1.4
  • [アミノ酸度]0.9
  • [杜氏]浅野 徹(高知杜氏)

醸造元/司牡丹酒造(株)