日本名門酒会

秋の純米酒頒布会 2021『酒蔵夜ばなし』


第6回3月

かいか じゅんまいしゅ

開花 純米酒

[栃木県佐野市]


1800ml 720ml
1.8Lコース 720mlコース

R3BY 新酒(瓶貯蔵)

〜 華やぐ豪農蔵の名残り 〜


三代歌川広重の開化絵

米づくりと酒造りが表裏一体となった豪農の面影を残す『開華』

日本では室町時代の中頃から江戸時代の終わり頃までにあたる14世紀半ばから19世紀半ばにかけて、「小氷期」と呼ばれる寒冷な気候の時代が続きました。北半球の各地で飢餓や疫病が流行し、それが原因で戦争も多くなりました。有名な「応仁の乱」が起き、それが戦国時代の呼び水になったという指摘もあります。

江戸時代になっても米の凶作による全国的な大飢饉は4回も起きています。徳川幕府は、経済政策と食糧政策を兼ねて、豪農や豪商に副業として酒造りを奨励する一方、米の収穫量の目途が立つ秋以降を酒造期と定めた「寒造り令」を出しました。

日本人の主食であり、貨幣と同じ価値を持っていた米が不作になれば、米価が高騰して庶民は食糧難となり、米が収入源だった武士階級も困窮することになります。一方、大豊作になると米価が暴落して、農民も武士も収入が減ることになります。そこで、米の相場の安定化を図るために、素封家に対して副業としての酒造りを奨励したわけです。副業である以上、不作の年には酒造りを制限し、豊作の年には好きなだけ酒を造らせても問題がないというわけです。このような政策は明治政府も継承したと言われています。

栃木県佐野市の郊外に蔵を構える『開華』の蔵元の長屋門は、かつての名主の佇まいを今に留めています。現在でも国が認めた食糧集荷業者として、近隣の農家が収穫した米を集荷し、農産物検査法に基づいた等級検査も行っています。


(写真左)蔵の正面 (写真右)島田嘉紀社長(12代目)
第一酒造(株) 延宝元年(1673年)創業

お酒について
初春に『開花』の名でお届け。自社田栽培米と栃木県開発酵母を使った純米新酒

幕末頃には江戸日本橋にまで酒を出荷していたという蔵元の銘柄『開華』は、明治維新の文明開化に因んで名づけられました。現在、蔵元では春には『開花』、夏には『開夏』など季節限定で文字を変えた商品も出荷しています。今回の頒布酒も、桜の季節を前に、搾った新酒を『開花』の名前でお届けします。

使用する原料米は、すべて蔵元の自家田で栽培したものです。麹米には酒造好適米《ひとごこち》を通常通りの精米法で55%まで精米し、掛米は一般米の《あさひの夢》を精米効率のいい扁平精米による65%精米で組み合わせます。酵母は栃木県で開発された上品な芳香の「栃木ニューデルタ酵母(T-ND)」を使用。純米新酒を生詰のうえで、手間のかかる瓶燗による加熱殺菌を施してお届けします。花々がほころび始める季節に、甘やかな果実香と旨味が凝縮した純米新酒をお楽しみください。

  • 【予定値】
  • [原料米]あさひの夢(自社田栽培)・ひとごこち(自社田栽培)
  • [精米歩合]掛米65%(扁平精米)・麹米55%
  • [酒母]中温速醸酛
  • [酵母]栃木ニューデルタ酵母(T-ND)
  • [アルコール度]15度
  • [日本酒度]±0
  • [酸度]1.5
  • [アミノ酸度]1.1
  • [杜氏]二ノ宮 俊一(下野杜氏)

醸造元/第一酒造(株)