[寒造り(かんづくり)]
江戸時代の中頃まで日本酒は、盛夏をのぞきほぼ一年中造られていました。しかし、醸造技術が未熟であったこともあり、暖かい季節には発酵途中の醪(もろみ)が腐敗してしまうことも多かったようです。

それはつまり、貴重な米を大量に失うことも意味しました。そこで江戸幕府は「寒造り令」を発令。秋の彼岸から春の彼岸までしか酒造りを許さないというお触れを出しました。

特に気温がいちばん低く、微生物の活動も弱まる寒の頃に造られるお酒は、キメ細やかで風味も優れていたため、次第に「寒造り」が定着しました。

空調技術が発達した現在では、一年中酒造りをする蔵元も現れましたが、大吟醸などはもっとも寒い時期を選んで造られています。


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