日本名門酒会 蔵元紹介

蔵の概要

環境

環境

一面に広がる筑紫平野の二条大麦畑と、背後に聳える古処山脈

九州本土から約20km、玄界灘に浮かぶ壱岐は、壱岐対馬国定公園に指定されるほど海岸と山岳の景観の美しい島。古くから日本とアジア大陸を結ぶ大陸交通の要衝の地であり、中国の史書「魏志倭人伝」に「一支国」としても紹介されるなど歴史も古く、弥生・古墳時代の遺跡も数多く残ります。周囲の海からの新鮮な魚介を始め、黒毛和牛・壱岐牛や地鶏など山の幸も豊か。長崎県で2番目に大きな穀倉地帯があり、米も麦も多く収獲され、その麦を原料に大陸から伝わった蒸留酒の製法を活かして麦焼酎を生んだ発祥の地としても知られます。現在、島には7つの焼酎蔵があり、そのうち最も歴史の古い蔵がこの山乃守の蔵元です。島の南部、最も標高の高い岳ノ辻の北麓の豊かな自然に包まれて蔵は建ちます。


歴史

歴史

歴史を感じさせる藁を練り込んだ土壁、木製道具、仕込み用の甕。

壱岐で焼酎造りが始まったのは16世紀頃。江戸時代、壱岐を支配した平戸藩によって米は全て年貢として取りたてられたため島民は麦を常食とし、余った麦で焼酎を造るようになったのが壱岐焼酎の始まりです。明治政府も初めのうちは自家醸造を許していましたが、酒税依存度が高まるにつれ次第に禁止の方向を打ち出し、明治31年には免許制とし、焼酎専門の蒸留所が生まれました。「山乃守」はその翌年の明治32年(1899年)の創業。壱岐のなかで最も古くから続く蔵元です。「壱岐焼酎」は、平成7年に世界貿易機関(WTO)によって地理的表示の産地指定を受け、シャンパンやコニャックなどとともに地名を名乗ることを許された数少ないお酒の一つです。


造り

造り

蔵にずらりと並ぶ1次、2次仕込み用の甕。甕に巻かれたムシロは保温のため。

米麹と壱岐産大麦、そして壱岐の良質な地下水を用い、創業以来百有余年の歴史に基づく技を活かした丁寧な手造りで、風味豊かな本格麦焼酎を造り出しています。米も木製甑で蒸し、麹も麹室で手造り。その米麹と大麦を一次および二次仕込みともに甕(かめ)に仕込みます。充分香りが引き立つように、醪をひと釜ごとに常圧蒸留し、品質的に安定して香味の優れている部分だけを採り、半年以上、長いもので5年も貯蔵熟成させ、山乃守ならではの風味とツヤを生み出します。創業時と変わらない甕(かめ)仕込みによる手造りだからこその、風味豊かで味わい深いを楽しめます。


味わい&合う料理

食

壱岐の郷土料理・甘めの出汁で仕立てた地鶏鍋「ひきとおし鍋」。その名は来客を奥の座敷に"ひきとおし"て食べてもらうことから。かつては庭先の鶏を丸ごとつぶし、自家栽培の野菜を用いてもてなしたとか。

度の強いものほど甘く、丸く、飲み下すと強い香りと刺激が快くさせてくれます。山乃守の特徴は「さらっと、まろやか、深い味」。そのままでもよし、またいくら割っても変わらない風味です。

蔵元おすすめ酒に合う地元のうまいもん

ひきとおし鍋 古く防人が伝えたという壱岐の「ひきとおし鍋」は、もっとも大切なお客様をもてなす料理として今もなお受け継がれ、親しまれています。伝統に守られた「かめ仕込み」山乃守を酌み交わしながら、豪快に「ひきとおし鍋」をお楽しみください。