日本名門酒会 蔵元紹介

蔵の概要

環境

環境

中城湾から臨む西原町

那覇市の北東約10km、蔵のある西原町は沖縄本島南部の東海岸に位置し、山の手に琉球大学や県立埋蔵文化センターなど学術施設が集まる人口3万人強の小さな学園都市です。地名は首里の北(方言でニシ)にあることに由来。琉球王朝第二尚氏の始祖がここ西原の地から首里に登り王位につくなど、古い歴史的地層の眠る街でもあり、貝塚時代から琉球王朝時代に至る遺構も町内に散見されます。中城湾に面した海岸部は各種企業の工場も集まり、近年、砂浜延長550mもある大型ビーチもある「西原マリンパーク」がオープンするなど開発が進んでいます。蔵元は街の北部、海にほど近い静かな環境にあり、中規模ながら機能的な酒造りができる工場になっています。


歴史

歴史

泡盛の醪。黒麹と水だけの全麹仕込み。クエン酸を豊富に生成する黒麹菌は腐敗を防ぎ、年間の平均気温22度以上、平均湿度70%以上ある沖縄での酒造りになくてはならない存在で、独特の風味を生み出す。

「御物城」蔵元は琉球王朝時代に朝廷御用達の泡盛製造を依託された御用酒蔵30場(一説には40場)の流れを汲んでいます。明治の中頃に一旦閉場しましたが、先代・石川政治郎氏が昭和24年(1949年)に那覇市首里寒川の地に再興しました。政治郎氏は首里三箇(*1)に育ち、酒造りの技術を身につけ、奄美大島や石垣島、台湾にも技術指導に出向いた泡盛製造技術者。戦後沖縄に戻ると沖縄民政府財政部が直接運営する酒造元のうちの首里酒造所に勤務し、酒造場が民営化された昭和24年(1949年)に、蔵を興しました。昭和48年(1973年)に2代目・信夫氏は、黒麹菌が豊富に生成するクエン酸に着目し、泡盛蒸留後の酒粕(カシジェー)を使った「もろみ酸」を開発し商品化するなど、泡盛の可能性も広げました。平成2年(1990年)、設備を増設するため首里から現在の西原町に移転し、伝統の甕仕込み・甕貯蔵を守り続けています。

*1首里三箇:琉球王朝時代に王府の命を受け泡盛の製造を許可された地域。首里にある鳥堀、崎山、赤田の3町を指す。琉球王家の御用酒として珍重された泡盛古酒は、その昔、琉球王府監督下で特定の役職のみが造り、厳重に管理されていた。


造り

造り

一石甕で一本一本、丁寧に仕込む。醪の攪拌、きめ細やかな温度管理など手間がかかるが、甕でじっくりと育て風味を引き出す。

王朝御用酒に従事した優秀な技術者30人、その流れをしっかりと今に受け継いでいます。泡盛特有の香りと味わいの秘密は黒麹菌にあります。泡盛の仕込みは全麹、つまり黒麹と水だけ。黒麹菌はクエン酸を大量に発生させ、その酸のおかげで雑菌を寄せつけず無事に発酵させるという製法は、沖縄の気候の中で育まれた製法。現在ではステンレスタンクを使用するところも多い中、蔵元では首里時代からの甕仕込みの伝統にこだわり、沖縄県で唯一、全量を管理に手間のかかる一石甕での醪発酵を行っています。さらに甕は泡盛の熟成にも適していることから、一般酒でも蒸溜直後の2、3ヶ月は甕で貯蔵され、限定古酒はそのまま甕でじっくり熟成させます。「御物城」ならではの優しくまろやかな風味を生み出しています。


味わい&合う料理

食

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甕仕込み・甕貯蔵に力を入れており、限定酒は甕だけによる貯蔵、一般酒も初期の一定期間を甕貯蔵による熟成をさせるため、いずれも古酒様のまろやかさがあり、優しい香味となります。

蔵元おすすめ酒に合う地元のうまいもん

足ていびち:豚足をおでんのように調理した料理。