本部長から
飯田本部長ポートレイト
大正13年東京日本橋生まれ。東京大学経済学部経済科卒。家業の酒問屋(株)岡永商店の副社長に就任後、各地の地酒メーカーに声をかけ、昭和50年に日本名門酒会を発足。SCMを先取りした組織を作りあげ、地酒の流通に一石を投じる。その日本酒興隆への貢献により日本醸造協会の「石川弥八郎賞」を始め、「マーケティング・エクセレンス賞」「黄綬褒賞」「フランス農事功労賞」など受賞多数。著書に『名酒発掘物語』等。現・日本名門酒会本部長、(株)岡永代表取締役会長

 皆さまもご健勝で新しい年を迎えられたことと、心からお慶び申し上げます。

 今年は「酉年」ですが、「酉」という字はサンズイをつけると「酒」という字になり、醸造する器の象形文字であります。酒とは何かと縁の深い年廻りですが、”カメ“の中で麹の醗酵を表し、醸し出すという新しい努力の爆発・興隆ということを意味するといわれております。

 また、この年は昔から革命が起こったり、新しい勢力が台頭するともいわれております。今年は終戦の年ーー昭和20年(1945年)から60年目に当たります。1945年からさかのぼること12年前の酉年は、ドイツでヒットラー内閣が成立し、”昭和の動乱“の時代に入りますが、12年目にしてようやく、第二次大戦が終了し、戦後の新しい時代の幕が開かれました。

 世界は平和到来と喜びましたが、その後、大戦こそありませんが世界各地で紛争が続き、現在でも不気味な波乱が西にも東にも内包されており、真の意味での平安な時代の到来とは思えません。そうした戦後60年間の後半30年を、日本名門酒会は皆さまとともに歩んできたことになります。

 志をひとつにするメーカーと流通の皆さま、それに日本酒をご愛好くださる皆さまとともに夢中でかけ抜けてきた30年でありました。発足の頃と比較して、日本酒の市場は大きく変わりました。それは各メーカーの努力による酒質の一段の向上と、フレッシュローテーションを可能にした流通の技術改善により、生産・流通・消費の一体化を図る21世紀型の流通構築に向かっての進化を模索する歴史でもありました。

 発足当時、30歳であった愛飲家の方々も60歳を迎えたことになります。また、新しく日本酒ファンとなった若い世代の方々も増え、日本酒を楽しまれる状況も変わりつつあります。

 しかしどれほど時代が変わろうと、そうして日本酒を愛好してくださる皆さまに「民族の酒・日本酒の伝統を守り、良質で旨い酒をお届けする」という発足当初からの理念は変わりません。新しい努力の爆発・興隆の年にふさわしく、30年前に取り組んだ一途な情熱と努力を今年、再び注ぎ込みたいと思います。

 これからもご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

2005年1月吉日

indexへ
 
カテゴリに戻る | カテゴリの一覧に戻る