新酒生酒「しぼりたて」
伝統的な酒造りをする各地の蔵では、昔ながらに冬の寒いさなかにお酒を仕込む「寒造り」が行われています。凍えるような寒さの中、甑(こしき)がもうもうと湯気をあげ、ほのかに甘い麹の香りが漂う蔵の内で、秋に穫れたばかりの新米で仕込まれた新酒が、次々にうぶ声をあげます。
このできたて・搾りたてのお酒を、そのまま瓶詰めしたのが新酒生酒「しぼりたて」です。
しぼりたてのお酒のフレッシュ感をたいせつにするため、火入れをしない生酒のまま、瓶詰めします。冬本番から、春めいてくる頃まで楽しめる、寒い季節に旬の味わいです。
酒屋さんの店頭にはためくこの幟が目印↑
日本名門酒会の「しぼりたて」
1)平成30年の夏以降に収穫された新米を使用して造られた新米の新酒です。
発売時期に差があるのは、お米の品種や産地によって収穫時期が異なることや、蔵元の酒造計画がそれぞれ異なるためです。
2)日本名門酒会の「しぼりたて」は「本醸造」「純米酒」「吟醸酒」などと表示された“特定名称酒”です。
"特定名称酒" には農産物検査法で3等米以上に格付けされたお米しか使うことができないことが法律に定められています。
3)3等米以上の新米で造られた新酒を、加熱殺菌(火入れ)しない本生の状態で出荷します。
4)加熱殺菌していない本生のお酒は、たいへんデリケートなため、冷蔵管理をお願いしています。
華やかな香りとみずみずしい味わいが魅力
「しぼりたて」の魅力は、なんといってもフレッシュさ。熟成された味わい豊かな秋のお酒「ひやおろし」や冬の「寒おろし」とは、まったく正反対の魅力を放ちます。
弾けるほど若々しく、荒々しくもある味わい。それでいて清々しく甘やかで華やかな香り。まるで口中に一足早く、春が訪れたかのような香味が魅力です。
盃を口に運んだ瞬間、爽やかで甘やかな香りに包まれ陶然とします。口に含めばピチピチと跳ねるようなフレッシュさの中に、甘やかさと、辛さ、そして後味にほろ苦さを感じとれるはず。
ほろ苦さが潜む軽快でみずみずしい味わいは、山菜やサヨリなど早春の食材との相性もぴったり。
蔵から届く冬だより、今年のお酒のできばえをみる
新酒生酒「しぼりたて」は、いわば寒仕込み真っ最中の蔵元から届く冬だより。「しぼりたて」の楽しみの一つに、“今年のお酒のできばえを見る”ことがあります 。
熟成期間の長いワインと違って、日本酒は熟成も早く、1年の中で四季折々の味わいの変化を楽しむことができます。そのサイクルのいちばん始めに位置するのが、この「しぼりたて」。
1年をかけて季節ごとに味わいを変えていくお酒の、最初の味わいをおさえておきましょう。数ヶ月後、あるいは一年後に熟成したお酒を味わう楽しみが増えるはず。
生酒だから
ところで「しぼりたて」は生酒、つまりいっさい火入れ(加熱殺菌)をしていないデリケートなお酒です。「しぼりたて」を手にしたら、速やかに冷蔵庫に入れ、一度封を切ったものはなるべく早く飲み切ってください。
せっかくのフレッシュな味わいと香りを楽しむためには、そのまま冷えた状態でお召し上がりください。アルコール度が少し高めの「原酒」はオンザロックもよし。発泡性のある「にごり酒」はパーティにもぴったりです。
*「しぼりたて」は原酒が多く、また原酒ではなくともアルコール度数が17〜18度台と高いものが多く見受けられるので、くれぐれも飲み過ぎにはご注意を。口当たりの良さやスムースな美味しさに油断していつもの調子で飲んでいると、足下不如意となってしまいます。お水を用意して、「日本酒ときどき水」の要領で、交互に飲んでいくと深酔い防止になります。
18-19年冬の「しぼりたて」、限定酒も続々と
この冬の「しぼりたて」は全74アイテム。月を追ってさまざまな搾りたて新酒が出てきます。秋口に収穫された新米がお酒となるのは、早いもので10月末。最初に造られるお酒は、その年の米の質を見極めるため、様子をみながら造られます。そうして、冬に入ってからが、いよいよ本番。12月中ごろには酒質の安定したものが出揃い、年明けから新酒誕生の最盛期を迎えます。真冬の蔵の風景を思い浮かべながら、年明け3月までじっくりお楽しみください。
全ラインアップについては、新商品も含めこちらでご紹介中。この冬の「しぼりたて」の愛飲計画にお役立てください。
また、しぼりたて新酒生酒は、2月の立春の日一日だけの限定酒「立春朝搾り」、3月の無濾過原酒「無垢之酒」と、特別版の限定酒も続々登場するのでお楽しみに。