お酒の歳時記
2004. 08
 ◆今月の肴◆ 夏のぬる燗に合う料理

疲れたからだに癒しのお燗酒。
夏場は人肌に近いぬる燗が、
バテ気味の心身を楽にしてくれます。
その癒し度をアップし
やさしさたっぷりの二重奏を奏でる肴をご紹介。
この組み合わせ、夏にしか楽しめません。
(取材協力/岡永倶楽部)

水茄子のぬか漬け▼
 ●水茄子のぬか漬け
     
VS. 酸が際だつ「富久錦 郷味深辛」
【参考小売価格(税込)】
1.8L・2,625円
720ml・1,260円

 水茄子はなにわ特産。関東ではあまり馴染みがありませんが、いままさに旬の夏野菜です。アクが少ないため生でも食べられる不思議な茄子ですが、水茄子というだけあって、その昔はこの茄子を食べて喉の渇きを潤したというほど水気たっぷり。実際、水をがぶ飲みしても収まらない喉の渇きが潤されます。ほろほろと崩れ、すっと消えるような、どこかはかない食感も魅力的。淡く優しい一品です。

 合わせたお酒は富久錦の純米酒「郷味深辛(きょうみしんしん)」。強い酸を中心にバランスよくまとまった、お燗向きの濃醇辛口酒です。お燗するとふっくら旨みが膨らみ、冷やだとヘビーに感じる重さも消え軽やかに。「あぁ、ほっとする」とため息がでる味わいです。夏場のお燗酒のいいところは、ひと心地つけさせてくれること。暑さのあまりなげやりになった気分をなだめ、“落ち着いて”食べることを思い出させてくれます。

 「濃醇なお酒が、水気の多い水茄子に、旨みを補ってくれるいい相性だと思いますよ」とは村越店長。はかなく涼味たっぷりの水茄子の味を、お燗酒の旨みが温かく包み、またお酒の辛さを水茄子がなだめてくれます。水茄子が口中で涼しくほろんと崩れたところに、お燗酒がほんわり旨みを広げ、ほろん、ほわん、とやさしさの二重奏。疲れて閉じていた心身が開いてくる癒しの組みあわせです。


 
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