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頒布会

2007冬の頒布会

07冬頒布会 新酒にごり酒祭

この冬のテーマ

まるで雪のように白い酒
キャップを開く瞬間のスリリングな緊張感
立ちのぼる甘く清々しい香り
口に入れた瞬間感じるほのかな炭酸ガスの刺激
そして、滑らかで濃厚な口あたり
いま、さまざまな味わいに進化した「にごり酒」をお届けします。

この冬のテーマ内容&お申し込み案内頒布酒紹介

◆にごり酒だけを揃えた頒布会◆

にごり酒ファンの皆さま、お待たせいたしました。にごり酒のさまざまな姿と味わいを心ゆくまで堪能できる頒布会のお知らせです。

個性豊かなさまざまなスタイルのにごり酒を、毎月2本ずつ3ヶ月にわたってお届けします。微発泡するにごりあり、とろりと濃厚なにごりあり、さらりとした薄にごりあり、貴醸酒のにごりあり、菩提モトあり、生酒あり。すべてこの冬に搾られたばかりの新酒・にごり酒。

雪のように白く、新酒ならではの清々しい香りと味わい、滑らかな口当たり。にごり酒ならではのコクのおかげで、少々辛みのある料理など、ほかのお酒にはない食との相性も楽しめます。ーー真冬の3ヶ月間、バリエーションに富んだにごり酒の面白さをご満喫ください。

◆『にごり酒』の謎◆

「清酒」・「にごり酒」・「ドブロク」

日本酒のことを正式には「清酒」といいますが、「清酒」とは本来、透明で清らかに澄んだお酒のことです。

これに対して「にごり酒」とは透明ではない濁ったお酒のことをいいます。濁ってはいますが、現在市販されている「にごり酒」のほとんどは「清酒」に分類されています。

“濁っている酒”なのに“清酒”とはこれいかに。

これは酒税法上の分類によるものなのです。現在の酒税法では『清酒』の定義の中に、“発酵の終わった清酒のモロミを 濾したもの” と明記されています。

普通の「清酒」は目の細かい布などでモロミを濾しますが、「にごり酒」は一般的に目の粗いザルのようなもので濾しています。どんなに濃い「にごり酒」であっても、『清酒』または『日本酒』の表示があるお酒は、必ず一度は濾しているのです。

また、「にごり酒」に非常によく似たお酒に「ドブロク(*1)」があります。「ドブロク」も「清酒」と同じように、水と米麹、蒸した米または、炊いたご飯などで造ったやや酸っぱい素朴な風味のお酒です。しかし「ドブロク」はモロミを漉さずにそのまま飲むため、「清酒」には分類されません。

(*1)「ドブロク」は、古くから民間で造られる日常のお酒でしたが、江戸時代に酒造りの技術や制度が整うに従い、民間での「ドブロク」が禁じられるようになりました。近年、規制緩和策の一環として「ドブロク特区」が制度化され、その特区内に限って旅館や民宿などが客に飲ませるために「ドブロク」を造ることができるようになりました。

「にごり酒」は日本酒のルーツか

「清酒」と「にごり酒」の区別がいつ頃からあったのか、定かではありません。しかし、弥生時代以前から日本にあったといわれる「口噛みの酒」や、現在でも皇室の祭祀に用いられる「白酒」(しろき)や「黒酒」(くろき)が「にごり酒」であることを考えれば、もともと「にごり酒」が先にあって、後にそれを濾した「清酒」が誕生したと考えられます。

「清酒」についての記録は、播磨国風土記(716年頃)に「清酒」(すみざけ)の文字があり、天平時代(729年?749年)の諸国正税帳にも「浄酒」(すみざけ)とありますが、それが「澄んだ酒」を意味するのか、宗教的な「清めの酒」を意味するのかはっきりしません。

平安時代、宮中行事の施行規則を定めた延喜式(927年)には、宮中の酒造り専門の部署・造酒司で造られた様々なお酒のなかで「御酒」や「御井酒」という最も格式の高いお酒は澄酒であったことが記録されています。

お届けする「にごり酒」は、太古の酒造りの製法と、新しい発想が融合した個性的なお酒の数々です。驚きの味わいと日本酒のロマンをお楽しみください。

◆補遺:古来の製法を現代にいかした2つのにごり◆

貴醸酒?日本酒の貴腐?

日本の神話を伝える「古事記」「日本書紀」のなかのには、いくつかのお酒が登場しますが、その中の一つ、「ヤシオリノサケ」(八塩折酒)というお酒が貴醸酒の原型です。

「ヤシオリノサケ」はスサノオノミコトのヤマタノオロチ退治のくだりに登場します(*2)。

スサノオは八つの甕に「ヤシオリノサケ」を醸し、それをヤマタノオロチに飲ませ、酔ったところを退治したと記されていますが、この「ヤシオリノサケ」は、“シオリ法”と呼ばれる古代の酒造りの製法で醸されたお酒です。

その製法は、一度発酵の終わったお酒のモロミにまた麹と蒸米を仕込み再発酵させ、それを繰り返し行います。そうすることで、濃厚で甘く強い酒を造るわけです。「ヤシオリノサケ」は、8回繰り返して発酵させたお酒という意味で(ちなみに古代の数の概念では、「9」は無限を意味し、「8」は実数の最高を意味します)、この製法は、平安時代宮中で造られていた天皇だけが飲むことのできる最高級のお酒「御酒」(ごしゅ)と同じ製法にあたります。

「貴醸酒」は、このシオリ法を現代風にアレンジして造ったお酒です。仕込みは、一般のお酒と同じように三段仕込み(米麹、蒸米、仕込水を3回に分けて仕込む方法)で行ないますが、三段目の仕込みの時には、仕込水の代わりにお酒(清酒)をモロミに加えます。すると、モロミは仕込んだ時点で、8度程度のアルコール分となるため、酵母の発酵が抑えられ、麹による糖化が先行して進みます。その結果、日本酒度は-40?-50、酸度は3.0前後、アルコール分16?18度程度で、甘味も酸味も豊かで濃厚な極甘口のお酒ができるわけです。通常の「貴醸酒」は、これを5年以上かけて熟成させて貴腐ワインのような高貴な甘さと、シェリー酒のような風味になったところで出荷します。

今回の頒布会でお届けする「華鳩 貴醸酒にごり酒」は、できあがった「貴醸酒」の新酒のモロミを粗濾しした後、加熱殺菌をして瓶詰したものです。滑らかな甘さと酸味の理屈ぬきに美味しいお酒となります。なお、「華鳩」の貴醸酒は、仕込みに使う清酒も純米酒を使用した贅沢な造り方をしています。また、貴醸酒をにごり酒の状態で製品化しているのも「華鳩」だけです。

(*2)日本神話の最高神で太陽の神であるアマテラス大神の末弟のスサノオノミコトは、乱暴をはたらいて高天原(天上界)を追放されます。そのスサノオがたどり着いた出雲の国(現在の島根県)で、頭が八つ、尻尾も八つのヤマタノオロチ(八俣大蛇)という大蛇を退治し、生贄になるはずであった姫を救い、ヤマタノオロチの尻尾からアメノムラクモノツルギ(天叢雲剣)という宝剣を取り出します。この剣は後に天皇の位を象徴する三種の神器のひとつとして代々引き継がれることになります。

菩提モト?古典的で甘美なお酒?

モト()とは、日本酒造りの工程のなかで、本格的な発酵を行うモロミを仕込む前に、優秀で丈夫な酵母をたくさん培養する工程で、別名・酒母ともいう日本酒特有の製法です。日本の酒造りは、「一麹、二モト、三造り(または、モロミ)」といわれるほど、モトの工程は重要です。

モトの工程で、野生酵母など性質の悪い酵母が増えてしまうと、良いお酒はできません。また、優秀な酵母でも、それがひ弱だと充分に発酵ができず、高品質なお酒にはなりません。従って、モトの工程で、優秀な酵母を鍛え上げながら、増やすという技法が生み出されました。

日本酒造りの工程にモトが生まれたのは、今から500年ほど前の室町時代といわれています(*3)。「モト」が発明される以前は、大型の甕や壷に米麹と蒸米と仕込水を一度に仕込むやりかたで造られていました。このときモロミの中で野生酵母などの雑菌類が繁殖するのを防ぐために、仕込水には乳酸濃度の高い「乳酸水(*4)」が使われていました。

「菩提モト」は、この乳酸水に米麹、蒸米を加え、優良酵母が繁殖するのを待つ方法で、乳酸濃度が高いと雑菌は繁殖できないという原理を利用したものです。

「菩提モト」は、奈良の菩提山正歴寺で開発されたことからこの名がありますが、寒造りが定着した江戸時代の後期になると徐々に造られないようになり、大正時代に完全に姿を消しました。明治末期に開発され、現在の主流である「速醸モト」は、この「菩提モト」を改良したものといわれています。

今回、お届けする「御前酒 菩提モトにごり酒」は、近世まで中国地方に伝えられた手法をもとに造った純米にごり酒です。独特の風味と甘酸っぱい味わいは、古典的な日本酒の味わいを彷彿させます。

(*3)室町時代は、庶民のエネルギーが高まった時代です。能や狂言、茶の湯に、絵画、建築など現在の日本文化を象徴するものの原型が生まれた時代です。また、食文化の面でも、味噌や醤油などが造られるようになり、和食の要素が出揃った時代でした。このような時代を背景にお酒の消費も伸び、酒の量産化と技術革新が起こります。
中国から高度な木材加工技術がもたらされると、それまでの甕や壷に代わり、木桶を用いてお酒を仕込むようになりました。大型化が容易な木桶は、お酒の量産に欠かせないものでした。さらに、量産するための技術革新が起こりました。仕込みの初期から優秀な酵母でモロミを満たしておくためのモトが発明され、酵母の密度を維持するために、徐々に量を増やしていく「段仕込法」が開発されました。

(*4)乳酸水:仕込水のなかに「生の白米」と「米麹」または「炊いたご飯」などを入れた布袋を浸し、時々揉みほぐします。すると、数日後には、水の中に溶け出した養分を求めて空気中の乳酸菌が入りこんで繁殖をはじめ、乳酸発酵が起こります。こうして、さらに数日が経過すると仕込水は、乳酸濃度が高い、酸っぱい乳酸水になるわけです。

 
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